今年の夏は寝不足の人が多く見かけられました。記録的な猛暑と熱帯夜が続いたのに加え、ロンドン・オリンピック大会のテレビ中継を深夜まで見入ったから、という「Wの悲劇?」のせいかもしれません。日本と英国の時差は8時間。ちょうど現地で決勝種目が行われる夕方から夜にかけてが、日本の午前零時から朝方にかけてという時間帯にあたります。興奮しながら応援していると、ついつい夜更かし、徹夜状態になり、連日の炎暑と相まって夏バテ状態になる人も多かったでしょう。次回2016年のオリンピックは、ブラジルのリオデジャネイロ大会です。日本とは地球の裏側で、昼夜逆転。テレビ放送は早朝から午前中がハイライトになります。
さて、では2020年のオリンピック開催地はどこかというと、東京、マドリード(スペイン)、イスタンブール(トルコ)の3つの都市に絞られており、2013年9月7日のIOC大会で正式決定されます。東京は1964年に次いで2度目を目指し、他は初開催です。2016年五輪招致を狙った東京は、晴海をメーン会場に設定し、半径8キロにほぼすべての競技会場が集まる「コンパクト五輪」を訴えましたが、「海辺ではテロ対策などが不十分」などの理由で世界の大勢の支持をつかみとれず、リオに敗れました。今度は今の国立競技場をメーン会場に設定し、しかも完全建て替え計画で、現在の5万4000人から8万人収容へと大型化させ、しかも開閉式の屋根付きとします。さらに、この建て替えの設計を国際コンペとして、日本人だけでなく海外の有名建築家の参加を促して、世界の英知を結集した競技場作りを目指しています。
こうしたハード面と同時に、「なぜこの都市で五輪を開催するのか」といったソフト面、メッセージ性が求められます。3度目の開催となった今夏のロンドン五輪は「持続可能性の社会」をうたい、競技会場の2階部分も取り外し可能な簡素な施設にし、マラソンコースも街中の周回コースにしました。2008年の北京五輪のような「国威発揚型五輪」が長く続いてきましたが、成熟した先進国が開催するならば、地球規模で将来のあるべき社会の形を訴えることが必要になってきます。2020年東京大会の海外向けスローガンは「DISCOVER TOMORROW~未来をつかもう」で、国内向けは「今、ニッポンはこの夢が必要だ」。東日本大震災からの本格復興ともからめて、東京五輪が世界の人々の心に響くメッセージを送れるかどうか。その前に、他の2都市と比べて弱いといわれる国内の支持、盛り上がりが、今夏以降熱くなるかどうか。オリンピック好きな日本人が、五輪自国開催で世界に何をアピールして、どう貢献できるのか、少しまじめに考えてみてはいかが。これが今年の夏休みの宿題。
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