「主婦の友」「月刊プレイボーイ」「英語青年」「月刊現代」「論座」「諸君!」「読売ウイークリー」…。私たちが買ったり手に取ったりした有名雑誌がここ数年で次々と姿を消しています。雑誌は絶滅する運命か、と危機感が募ります。発売部数が減り、広告収入が激減したことが直接原因です。
インターネットの進化で大半の情報が無料で入手できるという大きな時代の変化がまずあります。若者にとって必需品のケータイにひと月数千円もの出費がかかると、好きな雑誌を買うお金がなくなってくる。雇用不安と昨秋来の金融危機で、中高年にも節約志向が強まり、財布のひもがきつくなっている。無料配布のフリーペーパーの広がりもボディブローとなって効いている。一方、広告主もネット広告を増やして雑誌広告を減らす波が止まりません。雑誌をネットで公開すればいいという試みもなされているが、採算性は未知数。
収入減に加え想定外の支出増という新しい事態も雑誌を苦しめています。
記事に書かれた個人が名誉棄損裁判で勝訴した場合、少し前までは雑誌側に数十万円程度の賠償金を支払えという判決が大半でしたが、最近は賠償金の高額化に拍車がかかり、今年に入って4290万円という過去最高額の判決が出ました。権力を持つ組織や有名人の「悪」を暴露する週刊誌が萎縮し、ノンフィクションやオピニオンを掲載する総合雑誌が休刊する事態が目立ちます。
昔ほど面白い記事がなくなったからだと取材記者の腕が落ちたことを責め、圧力と闘いながら巨悪を追及する根性が足りないと編集者の志の低下を嘆く声も聞かれます。多様な意見と趣味の世界が自由活発に表現できる社会こそ健全な市民社会だとするならば、雑誌がこのまま衰退の一途というのも考え物です。
たかが雑誌、されど雑誌。ワクワクしながら読んだ好きな雑誌を、もう一度見直しませんか。
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