地球温暖化

新しい年2025年には、4月13日開幕の大阪・関西万博や、9月東京開催の世界陸上選手権大会など、明るい話題が待っています。一方で、巨大隕石が地球に衝突、世界は消滅するという終末論の予言がSNSに蔓延するなど、ぼんやりとした不安も漂います。1999年のノストラダムスの大予言を思い出させますね。当時も現在も明確な科学的根拠はなく、専門家は証拠なしと否定しているのに、世の中には超常現象や疑似科学による終末論が絶えません。でも危機があるのは現実です。隕石のように地球の外からある日突然襲ってくるのではなく、むしろ地球の内側からじわじわと私たちをむしばむ恐怖。それがプラスチック汚染です。

プラスチック製品は石油や植物繊維を原材料に人工的に作られる合成樹脂です。熱や圧力をかけると容易に成形できるので、1907年以来、広範囲に利用されています。工業製品のみならず、レジ袋、魚や肉のトレイ、カップ麵の容器、ペットボトルなど日用品には不可欠な存在です。便利ですが、問題は捨てられた後です。高分子の化学物質なので土壌に分解されず、半永久的に生態系に負の影響を及ぼします。直径5ミリ以下のマイクロプラスチック、1000分の1ミリ以下のナノプラスチックという極少片は、地上から海洋への流出も激しく、クジラ、イルカ、ウミガメなどの体内から発見されています。陸の世界最高峰8848メートルのエベレスト頂上付近も、近年急増した登山客がプラごみを捨てて世界自然遺産を汚しています。さらにショッキングな研究が発表されました。人間の血液からプラ片を検出という調査結果が、日本だけでなく各国から相次いで出されたのです。

では、プラの生産を止め、少なくとも減らせばいいじゃないか。そう簡単にはいきません。拡大するプラ汚染に危機感を抱いた国連は2022年、プラ汚染の根絶のため法的拘束力を持つ国際条約を作ると決議、2024年11~12月韓国釜山で開かれた第5回政府間交渉には180カ国・地域が参加して決着を図りました。ところが、原油生産国のサウジアラビアなど約30カ国が反対を押し通し交渉は空中分解。プラ原料の原油(ナフサ)生産を減らされると国家経済への打撃が大きいからです。この問題に一番影響力を持つのが2期目となったトランプ大統領です。ただ、アメリカ第一主義を掲げるトランプ政権は1期目に国際的な環境保護条約から脱退し、2期目の今回も気候変動や地球環境保護には後ろ向きの姿勢を明確にしています。地球温暖化はフェイクだという陰謀論支持者に囲まれている限り、プラ汚染はますます深刻化するでしょう。でも、一転考えを180度変える可能性はあるのか?星に、いや星条旗に祈るのみ。

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