食欲の秋。サンマの不漁やクロマグロの漁獲規制の動きなど不安材料はあるものの、海の幸・山の幸が豊富にそろうこの季節は、やはり食べる楽しみがふくらみます。そんな日本の多彩な味が11月に世界に発信されます。米国の有名レストランやホテルに多くの卒業生を送り出している料理研究の名門大学「ザ・カリナリー・インスティチュート・オブ・アメリカ」が毎年開催している「国際料理会議」の第13回のテーマに、初めて日本食が単独で取り上げられることになったからです。
現在、世界各地に3万軒を超す日本食の料理店があるそうで、今さらと感じる人もいるでしょう。しかし今回は一味違います。日本料理の体系と最前線を紹介してほしいという大学側の願いに応えて、すし、本格懐石といった高級料理だけでなく、ラーメン、讃岐うどん、そば、お好み焼き、焼き鳥など庶民の食べ物を含めた46人の料理人・経営者が一堂に集まり、初めて「チーム・オブ・ジャパン」を結成。会議開催地のカルフォルニアに乗り込み、華麗な包丁さばきの実演と共に幅広い日本食を披露する予定です。すでに上海やバンコクなどアジア各地ではラーメンをはじめとした日本食B級グルメ店が数多く展開しており、欧米にも拡大する勢いです。9月に神奈川県厚木市で開かれたB級ご当地グルメの祭典「B-1グランプリ」も予想を超える人手で賑わいましたが、このジャンルから世界人気となる食べ物が近いうちに出てくるかもしれませんね。
昨年日本で初めて開催された世界料理サミットでは、日本食のうま味がフランス料理などに広く利用されていることがわかるなど、調理の基本でも日本食の奥の深さが認められました。今年2月にはフレンチのシェフたちがフランスから多数来日、各地の日本酒の酒蔵を訪ねて歩く姿が見られました。欧米のレストランではフランス、イタリア料理と日本酒を組み合わせる食べ方がじわじわと広がっているそうです。低カロリーでヘルシーという点でまず人気の出た日本食も、今度は味そのものが評価される時期が来たようです。さあ今晩は、世界各地の人がよだれを垂らしそうな日本食のどれを食卓にならべようか。うまし国日本に生まれてきてよかったなあと思う秋の日々です。
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