歴史の歯車がゴットンと一回転すると、攻守ところを代えるのか。1960年代後半から70年代初めにかけて、日本全国で吹き荒れた大学紛争。その主体は戦後生まれのトップランナー、団塊の世代の男女でした。政治的な主張は多様でしたが、総じて戦争を起こし日本を廃墟にした親世代への反発、その世代が戦後も国家・社会の中心でい続けることへの反感が共通軸にありました。その世代間断絶から40年たった今、60歳を超えた団塊の世代から上の熟年層が、20~30代の若者たちの批判の矢面に立たされている時代状況です。
「65歳の高齢者は20歳のキミよりも3903万円もボロ儲け!」といった過激な文字が並ぶ本が今春出版されました。山野車輪著「若者奴隷時代~」「若肉老食社会の到来」です。年金、医療などの社会保障の受け取り分が、高齢者に厚く若年層に薄いという今の制度を鋭く攻撃する内容です。実際はそう単純でなく、高齢者の貧困問題は深刻なのですが職がない・給料水準が低い・将来の夢がもてないという閉そく状態に置かれている若者には、一見優雅に暮らす年金世代が搾取の主のように見えるのでしょう。テレビの討論番組で、世界旅行を楽しむ年金暮らしの熟年夫婦に若者が怒りの言葉をぶつけていたのを思い出します。
攻撃の矛先を熟年に向けるより、その憤りを制度改革に向けて政治を動かせば、今の状況は変わるという正論を理解できる若者も少なくないでしょう。でも、モヤっとした高齢者憎悪の空気は結構、青年男女にまん延しているという分析もあります。問題を富の配分をめぐる世代対立に追い込まず、それぞれの小異を捨てて、この国の将来のあるべき姿の模索という大きな選択をしていくことが、今は大事なのではないでしょうか。いつ も低い投票率の若者たちにとって、7月の参議院選挙は絶好の意思表明の機会のはずです。
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