年の初めは、多くの人が「今年こそ…」と、明るい夢や希望を胸にふくらませる季節です。 そこで今回は、日本の将来に、いや地球の未来にとって素晴らしい取り組みを紹介しましょう。一言でいえば、ミドリムシが地球を救う。えっ虫が!?と驚き、怪訝(けげん)に思う人がまだまだ多いかもしれません。ミドリムシを原料にした食品がすでにコンビニなどの店頭に並んでいますし、繊維質を生かした合成新素材、家畜飼料や作物肥料、さらにはなんと車やジェット機用のバイオ燃料としての可能性も有力視されています。食糧難と地球温暖化を 解決する救世主になるか、日本だけでなく世界中から注目されている研究開発です。
このミドリムシ、実は虫ではありません。ワカメや昆布と同じ藻の一種。動物と植物の性質を兼ね備えた微生物で、田んぼや池に生息しています。そんな一見普通の藻に、ビタミン、ミネラル、アミノ酸、不飽和脂肪酸のほかに、パロミロンという固有の食物繊維があり、人間にとって必要で有用な栄養素がたっぷりの生物だと判明しました。アメリカのNASAなど世界各国で研究が進められましたが、培養技術が難しくなかなか実用化には至りません。ところが2005年、世界で初めて屋外での大量培養に成功しました。それも大学を卒業したばかりの日本の若者が興した企業で。昨年末、東証一部上場を果たし、今年いよいよ、本格的な実用化、企業化の時代を迎えました。
ミドリムシの学名をそのまま企業名「ユーグレナ」にした代表取締役社長の出雲充さん(34)は、東京大学1年生のときのバングラデシュ旅行の体験が原点だという。食料はあっても 栄養素が足りない状況を何とかしたい。農学部で、世界の食糧事情を改善しようとしたとき、ミドリムシの存在を知り、同僚学生と共に研究と起業に突き進みました。すでに商品化は 加速度的に進み、食品はクッキー、スイーツ、ドリンク、ハンバーグ、ヨーグルトに広がり、軽くて強い合成新素材の創造も緒に就き、バイオ燃料によるバス試験運行も始まっている。ベンチャービジネス旗手の一人ですが、利益の追求が目的ではなく、社会貢献、人類貢献への使命感が原動力になっています。こんな若者が、これからもどんどん日本に現われてほしい。そんなすがすがしい期待を抱きながら、2015年の幕が明けました。 本年もよろしくお願い申し上げます。
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